第9回総会(平成20年5月13日開催)講演摘録

「人間力を育てる~可能性を信じて~」

講師:記虎敏和氏 (龍谷大学ラグビー部監督)

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  • 高校は啓光学園、大学は天理大学、そして卒業してからは、啓光学園で29年間、体育の教師として、また監督として携わってきた。そして2004年に龍谷大学に寄せていただき、今年で5年目になるが、啓光学園のときのように実績を残すことができなかった。4年間で1勝しかできず、Bリーグに降格したことで、みじめな思いをし、自信を無くし、負ける恐怖心を感じるようになった。私自身、負けて学ぶとは何なのか考えさせられた。
  • 私は、徳川家康の処世術の「学ぶは真似ぶ(まねぶ)である。人の知恵というにはたかの知れやもの。独創は人の眼を驚かすだけで、そう大したものではない。古今東西のよき例に真似よ。おのれの才は人並みのものと思えば、先人の知恵を素直に受け入れられる。」という言葉が好きで、人の話を聞いたり、人のやっていることを真似ることにより、いろんなことを学ぶことが出来る。スポーツ選手でも社会人でも「素直さ」が一番大事ではないかと考えている。
  • ラグビーはチームワークが大事であると言われるスポーツである。一人一人がその持ち場や立場を、責任もってしっかりと果たすことで、その責任の集合体が本当のチームワークである。
  • ラグビーでは基本が当たり前にできることが一流のプレーヤーであるので、「ラグビーだけでなく日常生活や学校生活でも、人間としての基本を身につけろ。」と部員に言っている。
  • 鈴木健二さんが、挨拶の「挨」は「自分のこころを開くこと。」、挨拶の「拶」は「迫ること。」と言われおり、彼らには、ふりではなく自分自身の感情を表に出すことの重要性から、挨拶については、口やかましく言っている。
  • よい指導者というのは、質問を演出できる指導者である。「どうしたらできるようになるのか。」という質問を投げかけ、一緒に考えて答えを探そうとすれば、選手と指導者とのコミュニケーションが図れる。
  • 私は、彼らの性格や癖など一人一人を観察し、その子の個性を認めてやることにより、彼らを信じることにつながり、いろんなことを任せることができるようになると考えている。
  • 自分で自分のルールをつくり、身近な目標を実現していく努力をすること、それが積み重なって大きな目標になる。それが伝統として受け継がれていけば、また勝つ集団ができあがっていくのではないか考えている。
  • ラグビーを通じて、夢中になることの大切さを教えていただいた。龍谷大学を日本一にするという自分の夢に対して努力し、彼らに立ち向かっていき、その環境の協力者になれたらなと思っている。
  • やはり主役は彼らであり、自分ではない。Bリーグに降格したことが、自分を見つけ出す意味では、負けて学んだと思っている。まだまだ未熟なチームであるが、夢の中にいる自分を奮いたたして、国立競技場で龍谷大学の旗が振れる日を楽しみにがんばっていきたいと思っている。