第8回総会(平成19年4月20日開催)講演摘録

「環境経営とマネジメントシステム」

講師:津村昭夫専務理事 (特定非営利活動法人KES環境機構)

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  • 環境改善のツールは、環境マネジメントシステムとしてのISO14001があり、京都から「KES」ということで発信した。これは、K=Kyoto、E=Environmental、S=standardの意味である。
  • 1997年にCOP3が京都で開催され、世界が地球環境を守るため、法的拘束力をもって数値約束をした初めての「京都議定書」が2005年2月16日に発効した。その意味でも、京都の指導的役割が問われており、京都市では2005年4月、京都府では2006年4月に特定の温暖化対策の条例ができている。国内でも法律の整備がなされ、モノの購入から、モノをつくる段階、製造後までの各段階で、環境に配慮することを目的とした環境関連法体系が整備された。
  • さらに’企業の社会的責任’(CSR=Corporate Social Responsibility)の声が上がり、そのためのツールの一環としてISO(国際標準化機構)に依頼してできたものが「ISO14000」環境マネジメントシステムである。
  • COP3の時に設立した「京(みやこ)のアジェンダ21フォーラム」の中に企業活動ワーキンググループを設置し、企業が環境にやさしい製品づくりや活動をするためのインセンティブをつくるところからスタートしたが、京都ではISO14001は浸透しなかった。そこで、中小企業に対し、環境問題についてのアンケートを行った結果、「環境問題は重要だという認識はあるが、情報不足及びコストの面から直ぐに対応できない」ということが明らかになった。このような問題に対応するため、圧倒的多数の中小組織の皆さんに環境改善活動に参加をしていただくことを趣旨とするシンプルで低コストな京都独自のマネジメントスタンダードをつくった。
  • KESの基本コンセプトは、ISO同様、先ずトップが環境宣言をし、これを達成するためにPDCAの管理サイクルを展開して、これの継続的改善をすることである。
  • 全国各地域でも中小企業の環境問題支援対策には課題を抱えていたところであるが、KESの取組を聞いて導入していただくところが増え、現在では北海道から鹿児島まで、ほとんどの都道府県で取組んでいただいている状況である。
  • 京都商工会議所、京都工業会、京都府、京都市の4者が共同で、環境マネジメントシステムをさらに広めるための取組を2005年から5ヵ年計画で進めていただいている。また、「グリーン入札制度」もでき、中小企業が審査登録することにより、優先的に商品を買っていただけるということで多くの方がKESに取組んでいる。さらに、金融機関もKES認定企業に対して「低利で融資する」という動きも出ている。
  • KESに取組んでいる学校は京都市内に約200あるが、ここで環境出前講座をやるなど、地域のKESを取得している地場企業と結び付けてはどうか。企業が子供達に工場見学をさせることにより、生きた環境教育ができると同時に、企業も子どもたちに工場を見せるとなると、いい加減なことはできないのでCSRの一環にもなる。さらに地域住民と学校は密接な関係があるため、地域住民にも参加してもらいながら、環境に対する地域コミュニティができないかと考えている。これから地域を整備されていく際には、是非こういう活動も地域コミュニティを広げるために入れていただくようお願いいしたい。
  • 最後に、KESは京のアジェンダ21フォーラムからスタートしたが、審査件数も1,500件を越え、任意団体が審査登録証を発行するというのはいかがなものかという声もあるので、この4月より特定非営利活動法人となった。ただKESは、京都の産業界や行政の方々につくり育てていただいたという経緯もあり、これからも皆さんに応援していただきながらこのような活動を進めていきたいと思っている。